怒鳴りつけて消えた秋葉の天狗火
どんな伝承か
文化七年の夏、伊勢内宮の神職荒木田末寿が、神宮の用向きで近江へ向かう途中、夜のうちに秋葉山の山道を通ったことがあった。そのとき、山の峰づたいに天狗の手火が数え切れぬほど掲げられていた。遠くにあると見えた火がにわかに目の前へ迫って一行を驚かせ、山鳴りがして大木をなぎ倒すような凄まじい音を立てるので、従者は怖がって先へ進もうとしない。そこで末寿は挟箱に腰を下ろし、自分は伊勢神宮の家人であって神用でここを通るのだ、それを知らぬのかと大声で怒鳴りつけた。すると数多の手火はぱたりと消え、山鳴りもたちまち鎮まったという。
原典より
文化七年の夏、伊勢内宮の神職の荒木田末寿が、神宮用にて僕二人を連れて近江へ行くとき、夜間に秋葉山の山道を通行したことがあつた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))