源雅通中将と二人の乳母
どんな伝承か
今は昔、源雅通中将が四条大路の南、室町小路の西方の家に住んでいたときのこと。乳母が二歳ばかりの子を抱いて南面の人気のない所で遊ばせていると、にわかに子の泣き叫ぶ声と乳母のわめき声がした。北面にいた中将が太刀をひっさげて駆けつけると、瓜二つの乳母が二人、間に子を置いて左右の手足を引っぱり合っていた。どちらが本物か見分けがつかず、狐の類だろうと太刀をきらめかせて走りかかると、一人の乳母がかき消すように失せた。狐か物の霊か、結局わからずじまいだったと語り伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。