話者・梅津貴昶
どんな伝承か
一九七五年頃の真夏、友人と蓼科へ向かう途中、韮崎インターを降りたところで道が分からなくなり、他の車とはぐれてしまった。山中で夜中の三時頃、ぼんやりと明るい方へ車を走らせると、昔の火消しの装束をした男たちが五十人ほど提灯を手に集まっていた。道を尋ねると、にやにやしながら反対の道を指し示された。教えられた道を走ると、後ろから火の玉が通り過ぎ、前方でぱっと消えた。車を降りて確かめると、そこは断崖絶壁の手前で、引き返すと火消したちの姿はかき消えていた。あれは狸だったと悟ったという。話者は梅津貴昶、回答者は松谷みよ子。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。