烏天狗が食うタコの予言
どんな伝承か
甲斐駒ヶ岳の小屋に、駒ヶ岳神社の巫女という白衣の老婆が同宿していた。下山の途中、道端の石碑をひとつ残らず拝んでゆく巫女に、著者がくだらないと考えていると見透かされ、「刀利天様というのは烏天狗、猿田彦命様というとても親切な神様だ」とたしなめられた。巫女は神様と会話しているような調子で「今日、里宮の配給所にはタコとイワシしか上がってこない」と告げられたと語った。半信半疑のまま下山し、麓のよろず屋を覗くと、黒板には確かに「タコ、イワシ」と書かれていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。