口寄せに降りた美術監督水谷浩
どんな伝承か
著者は先輩だった映画美術監督の水谷浩を、恐山で招んでもらった。当たったのは六十を過ぎた全盲のイタコで、黒い筒を背負い、黒ずんだ数珠を鳴らしながら唱えごとを始める。降りてきた仏は大柄で日本人離れした風貌、病で顔色を失いやつれていると言い当てられ、そのとおりだった。水谷の霊は招ばれた喜びを繰り返したあと、死後の遺産や家庭のもめごとを案じ、二人で進めていた日中合作映画を果たせなかったことを詫びた。別れぎわには九月と十一月に仕事と交通事故を用心せよと告げ、その年の九月には実際に仕事上の悶着が起き、十一月には近しい人が事故で重傷を負った。
原典より
数年前、私はよき先輩であった映画の美術監督水谷浩の口寄せをしてもらった。—— 霊魂の謎-新版タナトロギー入門(中岡俊哉・1990年(平成2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の謎-新版タナトロギー入門(中岡俊哉・1990年(平成2年))
『霊魂の謎-新版タナトロギー入門』は、昭和四十八年に新書版で出た『タナトロギー入門』を、中岡俊哉が文庫化にあたって大幅に加筆・訂正した心霊研究の本で、まえがきは一九九〇年九月付である。著者自身の霊体験から説き起こし、背後霊・地縛霊・騒霊・悪霊・祖先霊・金縛り・淫霊の事例、臨死体験と転生、死者の声の録音や自動書記、恐山のイタコ、心霊治療、心霊写真の鑑定を国内外の例で述べる。まえがきでは「七疑三信」という著者の調査の立場を語っている。