十ない渕に身を投げた女中
どんな伝承か
市には十ない渕と呼ばれる深い淵がある。不言城があった時代、家老に奥の谷という武士がいた。裕福な家で、先祖伝来の皿を十枚伝えていたという。可愛がっていた女中が淵で皿を洗い、洗い終えて数えると一枚足りない。女中は九枚しかない、十無いと嘆いて淵に身を投げた。以来、月の十二日が満月に当たる夜には、淵の底からとうないと悲しげな声が響くといい、この名の由来になった。別の伝えでは、心根の悪い女中が自分で割ったのに罪を着せたのだともいう。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。