網にかかった人魚を放した網元
どんな伝承か
馬路の網元に、黒右衛門という情け深い男がいた。ある時その網に人魚がかかる。漁師たちは見世物にするか売って金に換えようと言い立てたが、黒右衛門は取り合わず、海へ返してやった。人魚は沖へ泳ぎ出しながら浜を振り返り、涙を流して「めんたし、まじのくろえもんさん、ゆび一本でも千メ目」と告げたという。指一本でも千メ目の値打ちがあるのに、という意味である。人魚は不老不死の薬と信じられていた時代で、以来この浦の人々は長命を保ったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。