西鶴の見た妖怪へ 駁車〉
どんな伝承か
井原西鶴『諸国ばなし』巻二に載る話。若狭国小浜で、越後屋の伝助のもとに年季奉公していた下女のひさは、伝助の妻の嫉妬から火箸で顔を突かれ、自ら命を絶ったという。その亡骸は行方知れずとなったが、正保元年、大和国秋志野の里で百姓たちが池を掘っていたところ、車を何輌も引くような音とともに青い波が立ちのぼり、二時あまりも渦を巻いて大雨のような騒ぎとなった。翌朝、静まった水面に浮かんでいたのは、かつて若狭の海に身を投げたはずのあの若い女であったという。
原典より
西鶴の『諸国ばなし』の巻二には、若狭国小浜で、越後屋の伝助のもとで「年切の女」(二年以上の長期契約の下女)として働いていた、ひさが、伝助の女房の嫉妬のため、顔に火箸をつきつけられ自害し、その死骸が行き方知れずになったのだ…—— にっぽん妖怪の謎(阿部正路・阿部正路・妖怪学・現代(著述)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
にっぽん妖怪の謎(阿部正路・阿部正路・妖怪学・現代(著述))
国文学者・阿部正路『にっぽん妖怪の謎―古代の闇に跳梁した鬼・天狗・河童・狐たちは生きている!?』。日本の妖怪を文化史・文学史の視点で論じる。第1章では西遊記・酒呑童子・両面宿儺・赤鬼青鬼などの鬼、石ノ森章太郎やナウシカ・未来の妖怪、地獄の辞典、ケンタウロスを扱う。