妻子と寝水死の幽霊
どんな伝承か
若狭小浜の西津という漁師町の話。お鶴という五十くらいの婆さんは魚売りで、元は漁夫の妻、無智ではあるが嘘を言う者ではない。その亭主の甚左はある夏、他の漁夫三、四名と舟を並べて沖へ釣りに行ったが暴風が起こり、一艘も帰って来なかった。お鶴は六歳の長男と三歳の次男を抱えて二十一日目を迎え、もはや望みなしと諦めて三七日の法事を済ませた。その翌る夜、甚左がびっしょり濡れたまま門口に立っていた。着物を着替えさせ、皆で添寝したが、翌朝には夫の姿も影もなく、着替えさせた着物は残っていても濡れた元の着物はなく、雨戸の締りもしてあったという。
原典より
若州小濱の西津といふ漁師町にお鶴といふ五十位の婆さんは、魚賣をしてゐる者は元漁夫の妻で、無智ではあるが虚言など云ふ者ではない。—— 幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・幽霊研究・大正〜昭和(戦前))