稲荷神主の生き霊神託で分家の老婦死す
どんな伝承か
祈祷師は昔と変わらず農村で信用されている、として著者は最近知ったばかりの例を挙げる。著者の家の分家の老婦が脳充血で病床についたので、家人が近所の稲荷神社の神主に祈祷を頼んだところ、「某々女の生き霊がたたっての仕業である」という神託だったという。そこで生き霊排除の法をさらに頼み、一五〇〇円を取られたが、ついに病人は亡くなってしまった。ところがその話が世間に漏れ、名指しされた某々女は村民から大変悪く言われるようになったと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
憑きもの持ち迷信――その歴史的考察(改訂版)(速水保孝・速水保孝・憑きもの研究・昭和(改訂版))
速水保孝『憑きもの持ち迷信―その歴史的考察』の改訂版。自ら狐持ちの家に生まれた著者が、つきもの持ち迷信による差別を内側から告発し、その歴史的基盤を考察する。序章で研究に志した動機・問題の核心・結婚に直面しての苦悩を語り、人権を脅かす実例として狐持ちにまつわる隔地心中、次々と破談になる三兄妹、隠岐の人狐解消決議、犬神が乳児を食ったと絶交、堆肥小屋に外道を飼うを挙げる。