松江侯 人狐を京都で鑑定
どんな伝承か
文政元年に刊行された陶山簸南の『人狐弁惑談』によれば、伯州・雲州で人狐と呼ぶものは、漢名がいまだ詳らかでないという。先年、松江侯がこの獣を京都に上せて漢名を尋ねさせたが、知る者がなかったと伝え聞く。また、ある人が本草学者の小野蘭山に尋ねたところ、『黄県志』にいう皮狐に近いと答えられたという。雲州・伯州の俗人はこのものが人を悩ますというが、実は人を悩ますものではない。その形は鼬に似て鼬より小さく、尾は鼠より短くて毛があり、色はおおむね鼠色で黄色を帯びる、と説かれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・石塚尊俊・民俗学・昭和(民俗調査))
民俗学者・石塚尊俊『日本の憑きもの―俗信は今も生きている』。日本各地の憑きもの俗信を実地調査と文献で体系化した研究の決定版。