小野小町と百夜通い
どんな伝承か
植木の先の小野という地区には、小野の堤や小野の泉と呼ばれる所がある。昔その小野に、七里四方に名の知れた美人の小野小町がいた。ある所の中将がこの小町に執心し、小町は百日の間毎日通いつめたなら一晩身を任せようと約束した。中将は通いつめて九十九日が過ぎ、百日めの晩は雪であった。小町は一計を案じて大きな川に白木綿を張り渡しておき、雪が積って暗い中を来た中将は、それを橋と思って踏み、川に落ちて死んだ。小町は穴持たずで恥をかくのを恐れて欺いたのだといい、殺された中将の怨念が残るため、小野では毎年必ず一人は器量良しが生まれるが決まって穴持たずだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史・自治体史(民俗))
『河内町史 柑橘・民俗編』所収の昔話・伝説。熊本県河内町(現熊本市)に伝わる三十八話の口承を採録する。