手元を見届けた骰子の透視
どんな伝承か
明治四十三年十一月十八日、福来友吉は、千鶴子が背を向けて透視するため詐術を疑われるという欠点を除こうと再び熊本を訪れ、済々黌校長井芹經平の書斎で実験を行った。黒塗りの巻煙草箱に骰子二個を入れて封印し、振ってから渡して上を向いた目を当てさせた。午前は従来どおり背を向けて四回試み、外れは一回だけだった。午後は正面に座らせ、毛布で顔だけを隠して手元を見届けながら五回行い、三回が的中した。これで透視に怪しむべき点はないと確かめられたという。
原典より
之によりて、千鶴子嬢の透視に何等の怪むべき點なきことが確實に認められた。—— 心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。