老婆のお寺まいり
どんな伝承か
熊本市の禅定寺での出来事。寺に同居していたAは、病気と聞いていた檀家の老婦人が薄暗い仏壇の前で手を合わせているのを見て、治って参りに来たのだろうと考えた。僧Bも仏壇脇の十畳間でこの老婦人に会い、快気を祝う挨拶をしたが、老婦人は会釈しただけで座を立たなかった。その晩、僧Bと僧Cの酒の席でこの話が出ると、僧Cは一昨日見舞ったときには今日明日という容態で、十町もの道を歩けるはずがないと取り合わなかった。僧Bは、門も玄関も閉めてあったのにどこから出入りしたのか分からないと首をかしげた。ほどなく、その隠居が亡くなったと知らせる使いが来た。
原典より
その寺に同居していたAが、檀家の老婦人が薄暗い仏壇の前に合掌しているのを見ました。—— 世界心霊科学大系 3(仁宮武夫(編著)・世界心霊科学大系・1954年(昭和29年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
世界心霊科学大系 3(仁宮武夫(編著)・世界心霊科学大系・1954年(昭和29年))
『世界心霊科学大系 3――二つの世界から人間を見る』は、仁宮武夫が編著し、昭和二十九年に富士書苑から刊行した心霊研究の概説書である。超心理学の実験と旧来の心霊研究の事例、他界からの通信とを照らし合わせ、透視・思念感応・念動・精神測定・幽霊・ポルターガイストを通して人間の心の構造を探る。三部十一章からなり、マイヤースの生前の著作と、他界後の彼から届いたとされる通信とを対照して、意識の界層や魂のグループを説く。