七本の矢と猫
どんな伝承か
昔ある所に狩の好きな二十一歳の若者がいた。狩に行く前、縁側に干した七本の矢に飼い猫が一本ずつ確かめるようにじゃれつき、じゃれ終わるとどこへともなく出て行った。それを見た母親が不思議に思い、そっと矢立てに矢を一本加えておいた。山で獲物を追ううちに急に暗くなり、得体の知れぬ魔物が飛びかかって来た。放つ矢は石に当たるような音を立ててことごとくはね返され、若者は大木の上に追いつめられたが、母の入れた八本めの矢を放つと魔物は木から落ちた。見れば飼い猫が矢を受けて死んでおり、傍らには割れたカメが転がっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史・自治体史(民俗))
『河内町史 柑橘・民俗編』所収の昔話・伝説。熊本県河内町(現熊本市)に伝わる三十八話の口承を採録する。