飛騨の匠と短い柱
どんな伝承か
昔、飛騨の匠と呼ばれる大工の名人が、大きなお宮を建てることを頼まれた。ところが最も重要な柱を算用違いで五寸ほど短く切ってしまい、代わりの材料もなく期限は迫って、腹を切って詫びようと決心した。心配した妻が理由を尋ね、石工に株型の角石を切り出してもらい、柱の下に据えて五寸短い分を補ってはどうかと助言したので、お宮は立派に出来上がった。名人は面目が潰れるのを恐れ、子々孫々まで祀ると約束して妻の命をもらった。棟上げの際に棟木に幣を飾るのは、名人が妻に感謝して始めたものだといい、女神さんを祀ったものだともいう。
原典より
それを聞いた妻は「石工さんに頼んで株型の角石を切り出してもらい、それを柱の下に据えて五寸短い分を補ってはどうか」と助言した—— 河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内町史 民俗編――昔話・伝説(河内町(編)・河内町史)
『河内町史 民俗編――昔話・伝説』は、河内町の町史の民俗編のうち、子守歌と昔話・伝説を収めた部分である。伝承者の名を添えた子守歌二編と、昔話と伝説の違いを述べた前置きに続き、継子譚・異類婚姻譚・和尚と小僧・愚か婿など全国に分布する型の昔話と、岩戸の観音、金峰山と飯田山、小野小町、弘法大師にまつわる土地の伝説を、第一話から第三十八話まで番号を振って並べる。多くの話には話型の名や類話の広がりを短く添える。