あわわの辻で見た死霊の行列
どんな伝承か
天暦十年の秋、御所での長い評議を終えた右大臣藤原師輔の車が、二条通と大宮通の交わるあわわの辻にさしかかった。疲れて眠りかけた師輔は、闇の中を音もなく列をなして進む一群を見る。肩や足から血をしたたらせる蘇我入鹿を先頭に、斑鳩宮で果てた山背大兄皇子、大津皇子、伴善男や道真まで、藤原の家に葬られた者たちが笏を捧げて御所を目指していた。えいうわん、という呪文が津波のように押し寄せ、最後に大納言元方の大首が眼前で首を伸ばして睨む。師輔は簾をおろし、ひたすら陀羅尼を唱えつづけた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。