血まみれのまま歩き去る人々
どんな伝承か
震災の直後、著者は円タクの運転手を探して日本橋の電車通りを走り回った。何度も揺り返しが来て、線路の上で足をさらわれ幾度も転んだ。あの一帯は地盤が悪く、揺れ幅は六寸を超えていたという。ようやく電車の交差点で放心したように立ち尽くす運転手を見つけ、肩を叩いて正気に返らせ、丸の内へ向かった。道中で出会った血まみれの人間は少なく見ても四、五十人。病院へ運んでやると怒鳴っても、誰もが目を宙に据えたままふらふらと歩き去っていく。耳も聞こえていないらしく、まるで夢遊病者のようだったと著者は書く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・昭和中期(1940年代~1950年代推定))
幼少期の地獄極楽のぞきからくり(私の心霊術)/心霊術と降霊の実演/作家長田幹彦の心霊体験/交霊と幽霊との接触/明治〜昭和の心霊文化