ビルの谷間に据えられた道祖神
どんな伝承か
渋谷の西武百貨店のA館とB館をつなぐ間道を入ると、右手のビルとビルの間に道祖神が据えられている。繁華街のただ中で、なぜこんなところにと思うほど場違いに見える。伝えられるところでは、工事の最中にごく短い日数のうちに三人もの死者が出たので、神を祀ることで祟りを取り除こうとして据えたものだという。昔であれば人柱を立てるところだが、今の世ではこれをその代わりとしたのだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考5-東京妖異所の系譜(西郊民俗・不明)
本書は東京都内に点在する怪異現象を民俗学的に記録した論文である。渋谷の道祖神、台東区の狸の狛犬、泉岳寺駅の地下鉄異変など、7つの具体的な怪異事例を取り上げている。いずれも実在する地名・施設に関連した報告であり、江戸時代から近年まで長期にわたって伝承されている。本所七不思議との関連性も示唆され、東京における狐・狸などの妖怪による幻惑、呪いや祟りによる人的被害、廃墟や地下空間といった異界的空間での現象が主要テーマである。