壁で塞がれた図書館の中地下階
どんな伝承か
四谷図書館の前を通りかかったとき、案内板の裏に何のためとも知れない地下室があった。思い切って階段を下りていくと、ひどく黴くさい空間があり、長く閉ざされたままらしい木の開き戸が現れた。かかっていた錠も錆びついている。何のために作られた部屋なのかと気になり、今度は建物の普通の入口から回ってその地下室へ行こうとしたところ、そこには戸がなく、ただの壁になっていた。入口を塞いだ理由を係員に尋ねてみたが、誰ひとりとして知る者はいなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考5-東京妖異所の系譜(西郊民俗・不明)
本書は東京都内に点在する怪異現象を民俗学的に記録した論文である。渋谷の道祖神、台東区の狸の狛犬、泉岳寺駅の地下鉄異変など、7つの具体的な怪異事例を取り上げている。いずれも実在する地名・施設に関連した報告であり、江戸時代から近年まで長期にわたって伝承されている。本所七不思議との関連性も示唆され、東京における狐・狸などの妖怪による幻惑、呪いや祟りによる人的被害、廃墟や地下空間といった異界的空間での現象が主要テーマである。