浮き沈みの果てに見た赤い太鼓橋
どんな伝承か
港区に住む森貝光子は、十九歳のときに肋膜炎にかかり、高熱が一週間続いた。熱を下げる薬もなく寝ているほかなかったが、あるとき体がふいに浮き、寝床から部屋の上の隅へ吸い上げられたかと思うとまた下りてきた。まるで昇降機に乗っているようで、それが七、八回も繰り返されたのち、穴の中へ吸い込まれた。気がつくと目の前に赤い太鼓橋があり、あたりは美しい花園で、音楽も聞こえた気がしたという。橋の下の川には幼いころ遊んだ友達が大勢いて、着物の裾を引き、よい所へ連れていくから一緒に来いと誘った。新しい下駄でなければ行かないと言い返しているうちに目が覚め、枕元では家族が泣いていた。
原典より
小口さんの場合は、抵抗しても浮き上がってしまったのだが、頑張り抜いて体の中に戻った人もいる。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・平成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・平成)
トム・ソーヤーの変身・オメガプロジェクト・色を聴く(共感覚)・クンダリニー覚醒・時間なき世界・光の存在/光の世界・星への旅・体外離脱とは何か・脳と心の関係・シルヴィウス溝・死のリハーサルなど全章にわたり、臨死体験者の証言(弟の気持ちを知る・ベトナム帰還兵・登山家の奇跡)と、ムーディやケネス・リングらの研究、脳科学的解釈を縦横に検討。