十二時過ぎに門を叩く音と汽車の響き
どんな伝承か
小山内薫が高輪の借家に住んでいたころ、彼は毎晩のように外出し、十二時を過ぎなければ帰らなかった。妻が一人で起きて留守居をしていると、十一時ごろまでは何事もないが、十二時を過ぎると必ず表の門を叩く音がする。出てみると誰もいない。そして汽車がごうっと音を立てて通る。もう汽車の通る時分ではないのに、である。この家ではほかに、雨の晩だけ土蔵の壁に人の顔が浮かぶ、貼った覚えのない「怪談乳房榎」の芝居番付が土蔵の扉に貼ってあるといった怪異が続き、一家はやがて麻布へ移った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・昭和50年代(1975年前後推定))
文豪たちの心霊体験(あの世はあった)/遠藤周作・三浦朱門の怪異/海外(フランス)での幽霊/怪音と怨念/あの世は存在するか