土蔵の壁に浮かぶ雨夜の顔
どんな伝承か
高輪の家では、雨の降る晩になると土蔵の右の壁に人の顔のようなものが浮かんだ。妻は雨染みだろうと思ったが、朝になると跡形もない。晴れた夜には何も見えず、降る夜には必ず現れるのだった。表にある石の土蔵にはほとんど物を入れていなかったのに、ある日小山内が探し物に入ると、扉の入口に『怪談乳房榎』の芝居番付が貼られていた。後に聞いたところでは、この家はもと大きな質屋の持ち物で、株の失敗から銀行に取られ、主人は土蔵の中で首を絞めたが死にきれず、庭の井戸へ身を投げたという。庭には注連縄を張った石の井戸があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・昭和50年代(1975年前後推定))
文豪たちの心霊体験(あの世はあった)/遠藤周作・三浦朱門の怪異/海外(フランス)での幽霊/怪音と怨念/あの世は存在するか