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高知市を出て伊予各地を絵を売り歩いた絵師小龍が年の暮れに帰宅した

所在地高知県高知市蓮池町
年代幕末〜明治初期(年末・十二月)
登場絵師河田小龍、女房、子供
出典奇談全集 現代篇

どんな伝承か

年の暮れ、絵師小龍は借金の催促に責め立てられていた。二十七日、女房が「借りをどうします」と迫っても金はなく、その日は潮江にいる仲間のもとへ行って夕方まで笑って過ごしたが、帰り道には暮の勘定が気にかかった。蓮池町の家では行燈の下で母子三人が音のしない夕飯を食べていた。翌日、金の工面に知人二軒を訪ねたがいずれも留守で、帰ると女房が米を買うから金を出せと待ちかまえている。小龍は懐の財布ぐるみ投げ出し、その日からもう家を出なくなった。そして大晦日の朝、彼は何を思い出したのか唐紙の半折を二つ切りにして展べ、墨を磨り出した。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

奇談全集 現代篇(田中貢太郎・奇談全集・大正~昭和初期(推定))

本書『奇談全集 現代篇』は、田中貢太郎による幕末から昭和初期にかけての日本各地の怪談・奇談を集成した作品である。明治維新期の松木事件から関東の連続殺人鬼事件まで、実地取材に基づく歴史的事件の記録と、民間に伝わる幽霊譚・怪異現象が混在している。特徴は、単なる怪談の創作ではなく、実在の地名・人物・事件を背景に、社会的矛盾や人間の怨恨が生み出す超自然現象を描く点にある。

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