階段から突き落とす床下の墓石
どんな伝承か
化物などないと言い張る語り手を、待合の女将の亭主である山田が自宅へ招いた。二階で暗闇のまま一時間待っても何も出ないので下りようとすると、階子段に足をかけた途端、襟元から水を浴びせられたような寒気がし、後ろから突き倒されるように階段を転げ落ちた。二度試しても同じであった。のちに山田が有名な者に見てもらうと、階段の左側の下に墓石が使ってあるといわれ、根太板を外して調べたところ果たして墓石が使われていた。石を取り替えてからは何の怪しみもなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
実説妖怪新百話(明治期(明治9年~明治18年の事例を含む、編纂は明治中後期と推定))
『実説妖怪新百話』は江戸時代から明治期にかけての怪談・心霊現象を記録した実例集である。本書の主要なテーマは、嫉妬・怨念・執念による死霊の祟り、狐や狸による化かしと報復、そして不幸な死を遂げた者による因果応報である。特に注目される点は、妻の虐待や後妻問題に関連した怨霊現象が多数記述されていることで、嫉妬による執念がいかに強力な超自然力となるかが繰り返し示唆されている。