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階段で襟元に冷気を浴びる待合

所在地東京都千代田区(お厩谷)
登場山田、待合の女将の亭主
出典実説妖怪新百話

どんな伝承か

語り手は化物などいないと言い張り、怪談を頭から否定する男だった。麹町のお厩谷は、九段の坂を上って三番町の通りを進み、招魂社脇の交番前で広い通りを左に折れ、井伊の屋敷を抜けた先の坂を下りたあたりで、角の二階家が問題の家である。ここで待合を営む女将の亭主で壮士あがりの山田が、化物はいないと言うなら来てみろと招いた。二階で飲むうち、十時頃に山田が下へ降りたきり戻らない。やがて瓦斯が細って真っ暗になったが、一時間待っても何も出ない。腹立ちまぎれに階段を降りかけたとたん、頭から水を浴びせられたような寒気が走り、背後から掴みかかられた気がして転げ落ちた。明かりを消せば必ずそうなり、女中も居つかないという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

実説妖怪新百話(明治期(明治9年~明治18年の事例を含む、編纂は明治中後期と推定))

『実説妖怪新百話』は江戸時代から明治期にかけての怪談・心霊現象を記録した実例集である。本書の主要なテーマは、嫉妬・怨念・執念による死霊の祟り、狐や狸による化かしと報復、そして不幸な死を遂げた者による因果応報である。特に注目される点は、妻の虐待や後妻問題に関連した怨霊現象が多数記述されていることで、嫉妬による執念がいかに強力な超自然力となるかが繰り返し示唆されている。

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