金沢藤田邸の枕返しの間
どんな伝承か
江戸時代の大都市の一つだった金沢にも、江戸に負けない化物屋敷の話が伝わる。藤田氏の邸宅といわれる化物屋敷には、枕返しをする一間があったという。ある夜、五人の若者がその部屋で明かりをつけたまま横になって話し込んでいると、いつの間にか枕を返され、あっという間に五人とも頭と足の向きが逆さまになってしまった。枕返しは東北地方のザシキワラシのしわざとして知られるが、都市の屋敷にもこうした部屋が語られていた。枕返しの間があることは、そこが別の世界へ通じる道と考えられていたことを示すという。
原典より
ある夜、五人の若者がその部屋に灯りをつけたまま寝て話をしているうちに、枕を返されてしまった。—— 妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。