金沢第九師団歩兵第七連隊
どんな伝承か
明治三十年頃、金沢第九師団歩兵第七連隊でのことという。ある日の夕食どき、兵士たちが食堂で上官の入場を待っていると、入隊したばかりの若い兵士が、板に乗ったかまぼこを指して「これは何というものですか」と尋ねた。「かまぼこという魚の加工品だ」と教えると、彼は「へえ、利口な魚だなあ、水に沈まぬよう板に乗って泳いでいるのだ」と本気で驚いた。尋ねると彼は海のない飛騨の山奥の出身だといい、海を知らぬ山国育ちゆえの勘違いに、周りは笑いをこらえきれなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 軍隊』を小話単位で全712話収録。徴兵・新兵・上官・戦地・戦争の残虐・敗戦・収容所・軍隊の怪談など、軍隊と戦争にまつわる兵士たちの現代民話を全国(一部は戦地・海外)から採集し話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明189話・市区町村判明76話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。