庭の飛石になった娘の墓石
どんな伝承か
小石川区第六天町、江戸川べりから拓大へ向かう谷あいの道に黒板塀の古い家があり、そこへ松嶺の旧藩主だった酒井子爵が越してきた。不幸続きで、地所も家作もあるのに立ち行かなくなっての転居だった。ところが移ってみると土地は高く売れ、家作は区画整理で買収され、みるみる暮らし向きがよくなる。本郷千駄木に屋敷を新築して越す間際、毎日踏んでいた庭の飛石の一つに文字が浮いているのに気づいた。古い墓石に彫られた戒名である。近所に尋ねると、旗本の家で早世した一人娘を邸内に葬った跡で、家が人手に渡るうちに墓石が飛石にされたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話