奥領家
どんな伝承か
静岡県磐田郡佐久間町奥領家の鈴木清五郎の話。この辺りは上州のからっ風と同じくらい有名な佐久間のからっ風といって、風が吹くと人も歩けないほどで、子どもは風にとばされて谷へ転げることもある。いつだったか、寒い冬の日にすごく風が吹いて、みんなで集まって「きょうあたり、火事がおきなければいいが」と話をしていた。ところが夜になるとカンカンカンと半鐘の音がする。大変だ、火事だと飛び起き、消防団の服を着て外に出た。ところが空はきれいな星空でどこも赤くなく、火事もない。聞きちがいかとまた布団に入ると、うとうとするとまたカンカンと鳴る。その夜は三度ほど起こされた。どうしてもたぬきの仕業だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。