夢見山
どんな伝承か
むかし大泉寺の住僧が駿河の富士の裾野を通ったとき、にわかに眠気を催し、道の傍らで手枕をしてまどろんだ。夢とも現ともつかぬうちに一人の男が現れ、自分は頼朝の富士の巻狩の折に仁田四郎忠常に討たれた曽我十郎祐成の亡霊だと名乗る。弟の五郎時致は箱根山で仏学を修めた功徳により、まもなく武田信虎の惣領として生まれるという。証にと兵庫鎖の竜の目貫を片方渡され、もう片方は生まれる若子が左手に握っていると告げられた。はたして大永元年三月二十二日、信虎の奥方が産んだ若子は左手に目貫を握っていた。その子が信玄であり、信玄は曽我五郎時致の生まれ替りだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。