夢見山
どんな伝承か
竜拏虎擲の川中島の戦の最中のことであった。武田信玄はある日の戦いで咽喉がひどく渇き、従者に水を求めたが、用意がなかったのか従者は水の代わりに梅を差し上げた。信玄がそれを口にして噛むと、実は八つに割れた。割れた実はその場に棄てられたが、やがて芽を出して成木し、実を結ぶようになった。ところが不思議なことに、その梅の木は一つの花に八つの実を結ぶので、幾年か後に岩窪へ移植された。現在、岩窪組の機山公墓所に、春まだ浅い如月の頃に馥郁と香る八房の梅と呼ばれる梅樹があるが、これは故の八房の梅の枯木に土地の有志が新樹を添えて、二十数年前に植えたものであるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。