嫁殺し田
どんな伝承か
西市地区に釜谷という深い谷があり、この谷の出口に嫁殺し田がある。昔、西市によく働く一家があり、なかでも姑は休みも祭日もなく働いた。ある朝も暗いうちから嫁と田の草取りをしていると、嫁は明日が「れんげ」という休み日であることを思い出し、仕事に合わせてつい「明日はれんげ、れんげな」と歌った。意地悪の姑が「牛のれんげ、れんげな」と歌ったので、嫁は明日も休みがないのかと気を落とし、とうとうその場に倒れて死んでしまったという。嫁の死んだ所に塚を作ったが、明治三十九年の耕地整理で他所へ移された。暑い夏の日や蒸し暑い朝夕、繁った稲葉の上をきりきりと渦が巻くのは、嫁の霊が今も田の上で舞うからだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第11巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全56話(鳥取・島根=山陰)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。