霊場への旅 補陀落渡海
どんな伝承か
那智山の入口にある西国三十三ヵ所第一番札所・青岸渡寺を起点に、平安時代ごろから海の彼方にあるとされる補陀落浄土を目指して川を下り海へ乗り出す補陀落渡海という信仰が行われた。小舟に乗り込んだ渡海上人は生きながら浄土往生を果たす即身成仏を目指したが、実際にはほとんどが海の藻屑と消えた。ある渡海では一度に十八人が舟に乗り組んだが、そのうち存命だったのはわずか一人だったと記録されており、死者を浄土へ送る水葬の儀礼としての側面もあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
呪術と占いの日本史(渋谷申博・瓜生中・呪術・占い史・現代(解説))
渋谷申博・瓜生中『呪術と占いの日本史―歴史を動かし庶民が信じた知られざる闇の系譜』。古代から近世まで、日本史を動かした呪術・占い・呪詛・怨霊を時代別に解説する。第一章(古代)では屈葬・土偶の人形呪術・鳥信仰、卑弥呼の鬼道、大国主尊伝説、トコヒの呪いと盟神探湯(ウケヒの審判)、妖怪にされた土蜘蛛、景戒の夢占い、人柱伝説、橘奈良麿の僧人形・子狐串刺しの呪詛、童謡の予言、道鏡と宇佐神宮の託宣、怨霊の祟りと遷都を扱う。