円珍の伝説と不動明王
どんな伝承か
智証大師円珍は弘法大師空海の甥にあたり、天台宗の僧となって比叡山延暦寺第五代の座主を務めた。空海の血筋のためか密教の才に恵まれ、天台密教は円珍によって完成されたという。円珍には不動明王にまつわる伝説が数多く残る。承和五年、石龕で座禅をしていると虚空に金色の大人が現れ、「我は不動明王である」と告げたため、その姿を絵師に描かせた。これが園城寺に伝わる「黄不動」である。もう一つの「赤不動」は、円珍が葛川での修行中に不動明王を幻視し、頭を岩に打ちつけて流れる血でこれを描いたと伝えられるが、なぜかこの画像は真言宗の高野山に所蔵されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
呪術と占いの日本史(渋谷申博・瓜生中・呪術・占い史・現代(解説))
渋谷申博・瓜生中『呪術と占いの日本史―歴史を動かし庶民が信じた知られざる闇の系譜』。古代から近世まで、日本史を動かした呪術・占い・呪詛・怨霊を時代別に解説する。第一章(古代)では屈葬・土偶の人形呪術・鳥信仰、卑弥呼の鬼道、大国主尊伝説、トコヒの呪いと盟神探湯(ウケヒの審判)、妖怪にされた土蜘蛛、景戒の夢占い、人柱伝説、橘奈良麿の僧人形・子狐串刺しの呪詛、童謡の予言、道鏡と宇佐神宮の託宣、怨霊の祟りと遷都を扱う。