明治の初年に、太田にて福田某と云う人あり
どんな伝承か
滋賀県大津市の話。明治の初年、太田に福田某という人がいた。相当の名家であったが、亡くなったとき、身体にその名前を墨書して葬った。数年の後、近江国大津で生まれた一匹の車牛の身体に、福田某と読み得る文字のようなものがあった。そこで太田村の福田某氏の墓地へ砂を取りに来て、その砂を交ぜた水で牛の身体を洗ったところ、文字は消えたという。語り手が老人から聞いた伝説である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。