堀江の人魚
どんな伝承か
推古帝の二十七年、摂津国の漁夫が網を堀江に仕掛けておくと、異様な動物が網にかかった。その形は魚でもなく、人でもないというものであった。『書紀』はこの前後、佐渡島で椎の実が人となって相闘った話や、翌年十二月一日に長さ約一丈、雉の尾に似た形の赤い星が天にかかった話、桃や李が一度に花開き三月から七月まで霜や長雨が続いて大飢饉に陥った話などを並べ、当時の社会不安の種々相を異様な事件の記録によって無気味に暗示している。堀江の異様な動物は、人魚出現を伝える古記録として知られる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の妖怪(早川純夫・早川純夫・妖怪史・昭和)
早川純夫『日本の妖怪』。神話時代から江戸まで、日本の妖怪と妖異を歴史の流れに沿って描く。