妻に化けた狐と臭い屁
どんな伝承か
『今昔物語』の話。ある雑色の妻が夕暮れに用事があって大路に出たが、久しく経っても帰らなかった。夫が案じていると妻が帰ってきて、しばらくして、同じ顔で寸分違わぬ妻がもう一人帰ってきた。どちらが狐か分からず、夫は太刀を抜いて、あちらを斬ろう、こちらを斬ろうと迷ううち、二人の女は互いにののしり合い、髪や手足を掴んでの大乱闘を演じ始めた。そのうち先に来た方が怪しく思われたので捕えると、その妻はひどく臭い屁をした。夫が臭さに堪えかねて手を緩めた隙に、その妻はたちまち狐になり、開いた戸口から大路へ走り出て、こうこうと鳴いて逃げ去ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・大正・昭和初期)
博物学者・日野巌の古典的妖怪研究『動物妖怪譚』の前半(總論〜多爾具久)。