古河のお菊の声
どんな伝承か
茨城県古河市には、行方不明になったお菊という女性の声にまつわる話が伝わる。「お菊」と呼びかけると「おーい」とどこからか声だけが返ってくるが、その姿はどうしても見ることができないという。もとは鴻巣という土地で、子守奉公中に赤子を沼に落として逃げ、墓地で首をくくって死んだ貧しい娘の伝承で、以来この土地ではお菊という名を忌み、嫁いできた娘には改名させたと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。