釣鐘沼と竜宮の釣鐘
どんな伝承か
新郷村の坂間にまだ人家がなかったころ、通りかかった武士の一人が僧となって住みつき、信者が沼のほとりに大きな堂を建てた。上州の聖僧の名づけで玉竜山大聖院となったが、鐘楼に掛ける鐘がない。聖僧は二十一日の修法ののち、竜宮伝来の名鐘だと言って豆粒ほどの物を紙に包んで渡した。不安になった僧が帰り道の岡郷で包みを開くと、道をふさぐ大鐘が現れて元に戻らず、檀徒が牛車で運んで吊った。盆の十五日に撞くと七色の雲がたなびいたという。のちに寺を古河へ移す際、鐘を外すと綱が切れて傍らの沼に沈み、竜神が取り上げたと噂された。以来その沼を釣鐘沼と呼ぶ。
原典より
するとたちまち、道をふさぐほどの大釣鐘が現われた。—— 古河市史 民俗編――伝説(古河市(編)・古河市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
古河市史 民俗編――伝説(古河市(編)・古河市史)
『古河市史 民俗編――伝説』は、古河市が編んだ市史の民俗編のうち、第一章「伝説と昔話」の伝説の節を収めたものである。古河市と周辺の総和町・野木町・北川辺町に伝わる沼や神木、三国橋の人柱、お菊卵塔などの墓地、源頼政や静御前、地蔵や野木明神の蛇にまつわる話を短く記す。伝説の特徴と分類を述べたのち、自然・社会・人物・信仰の四つに分けて収め、町名の由来を添え、昔話の節の冒頭で終わる。