火葬場の煙を浴びる合格俗信
どんな伝承か
入試突破の俗信に『火葬場の煙を浴びる』というものがある。著者が聞いたのは東京都中野区の例で、上高田に住む医学博士の石原房雄と、小滝橋あたりに住むサラリーマンの知人から聞いた、いずれも戦後の話だという。落合火葬場の煙のなびく範囲にある仕舞家には、三学期になると『試験まで下宿させていただけないか』と、まったく未知の学生が訪ねてくる。間貸しはしないと断り、誰かの紹介かと尋ねると、風の具合を見ているとお宅の上に火葬場の煙がなびいてかかっていますから、と異口同音に答えたという。火葬場の煙は死線を越えるからだという説明もあると著者は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。