安諦村杉野原と人妻久野の作為
どんな伝承か
有田郡安諦村杉野原では、一月八、九日に隣りの八幡村久野原から十二、三人が「ええじゃないか」と連呼しつつ、太鼓・三味で踊り込んできた。伊勢講のあった十六日に降札があり、以後二月末まで降りつづく。伊勢皇太神宮のほか金の大黒天、大日如来像などが降り、参詣に来た者は三尺ほどの棒に四手をつけたものを振りながら囃し、老若男女とも土足で座敷へ上がって踊った。この騒ぎには伊都郡花園村新子生まれで杉野原住まいの人妻久野が関与しており、あちこちで札を探してきて有名になったが、ついに捕えられ、自分が夜中に札を降らせてまわったと白状した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか(高木俊輔・1970年代~1980年代(推定))
本書は幕末維新期の慶応3~4年(1867~1868年)に東海地方から四国地方にかけて流行した「ええじゃないか」という民衆運動を詳細に記録した研究書である。神社仏閣の札が降下する「お札降り」現象を契機として、老若男女が「ええじゃないか」と囃しながら踊り狂い、祝宴を催す集団心理現象が急速に波及した。