科学者が見た老婆の幽霊
どんな伝承か
昭和十二年、大阪製鎖造機の研究所で軍用航空機のプロペラを研究していた二十四歳の柏原学は、婚約者の祖母の勧めで大阪市都島区都島南通五丁目の空家へ移った。三軒一棟の平家の長屋の右端にある、なんとなく陰気くさい家であった。引っ越して間もない夜、寝床がふわりと持ち上がって宙に浮くような感覚で目を覚ますと、豆電球の光のなかに紺の着物にハイカラゆいの品のよい老婆が坐ってこちらを見ていた。声をかけても返事はなく、腰から下は透明で背後の床の間が透けて見えた。手で触るとすっと消えた。老婆は七月末と八月にも現われ、その家では以前、老夫婦が心中していたことがわかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・昭和)