科学者が目撃した幽霊
どんな伝承か
昭和十二年、大阪製鎖造機の研究所で軍用航空機のプロペラを研究していた二十四歳の柏原学は、婚約者の祖母の勧めで、都島南通五丁目五一の空屋に移った。三軒一棟の平家の長屋の右端にある、なんとなく陰気くさい家であった。梅雨のさなかに引っ越して間もないある夜、六畳間でひとり寝ていると、寝床がふわりと持ち上がって宙に浮くような気分に襲われて目が覚めた。豆電球の光の中に、紺の着物を着てハイカラゆいに結った品のよい老婆が坐り、こちらを見ている。声をかけても返事がなく、腰から下は透明で、背後の床の間が透けて見えた。手で触ってみると、すっと消えてしまったという。
原典より
* 南都雄二にとりついた霊* 小倉競馬場の幽霊* 現代に祟る古武士の怨念* 古墳に眠る死者の怒り* 呪われた土地と屋敷* 守護霊に守られた人々* 四次元の世界に住む女—— 日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の四次元(鈴江淳也・心霊・四次元・昭和)