疎開先で村人を助けた祖父
どんな伝承か
戦争中、横浜生まれの語り手は父母の実家がある静岡県伊東市に疎開し、三年ほど暮らした。不用心だからと母方の祖父が毎晩泊まりに来て、いろりに火をくべながら黙って家族を見守り、朝になると帰っていく生活だったという。のちに十七、八歳の頃、語り手は臨死体験をした。気がつくと川のほとりにいて、向こう岸の黄色い花畑にあの祖父が座り、あぐらではなく立てひざで火箸をいじる、いつもの姿でこちらをじっと見ていた。祖父は大地主の息子でありながら、人に見られぬよう朝早く貧しい小作の家に食べ物を配って歩き、村では「仏さま」と呼ばれ、亡くなった際には村中の人が葬式に集まったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・平成)
立花隆『証言・臨死体験』を証言者(人物)単位で収録。安田伸・水上勉・邦光史郎・志賀信夫・前田忠明・佐野三治・向井承子・北林谷栄・永倉万治・彗星探索家木内鶴彦・元プロレスラー大仁田厚・羽仁進ら著名人や市井の人々が語る臨死体験(体外離脱・トンネル・光・お花畑・三途の川・死者との再会・人生回顧と蘇生)を、各証言の冒頭に【日付】【場所】【人物】【状況】マーカー付きで収録。臨死体験を脳科学と心霊の両面から検証した立花隆の証言集。