官軍を恐れ花嫁だらけになった氏家宿
どんな伝承か
語り手が子どものころに本当にあった話として語られる。江戸で将軍が赤い毛をかぶった官軍に敗れ、その官軍が会津と戦うためにこの地を通ってくることになった。官軍は赤鬼と同じで、娘はさらわれて食われ、馬は取り上げられると噂され、人々はおびえきった。やがてお達しで馬が持ち去られると、次は娘の番だと娘のいる家は夜も眠れなかった。船の多い上阿久津では、娘たちを船に乗せ菰をかぶせて運び、山中に隠して夜に裏道から食べ物を届けた。氏家宿では嫁にしてしまえば心配ないと決まり、急いで島田髷を結わせて縁付けた。相手のいない娘は豚と祝言を挙げさせ、幼い女の子まで花嫁姿にしたので、宿中に泣き顔の花嫁があふれたという。
原典より
ほれよりちっけえ女っこも、どおにがして花嫁姿に仕立でだもんだがら、泣き虫の花嫁さまだの、涙ったらした花嫁さまだの、宿中にごでっちゃり出来たんだど。—— 氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史)
『氏家町史 民俗編――伝説・昔話』は、氏家町の町史民俗編のうち、第五章「くらしと言語」の第一節「伝説・昔話」と第二節「ことわざ、俗言」の初めを収めたものである。昭和七年版『氏家郷土誌』の数編と町史編さん室などが集めた話から選んだ二十七話を土地の方言の語りに直して載せ、勝山城にまつわる歴史伝説や地蔵の信仰伝説が多い。各話の末に方言を主とする語注を付け、ことわざの節では日常に使われた俗言を頭の音(あ・い・う)ごとに並べる。