黒い川のほとりで聞いた亡父の声
どんな伝承か
1989年六月、天安門事件取材のため訪中していた作家水上勉は、帰国後まもなく成城の自宅で心筋梗塞の発作を起こし、心臓の三分の二が壊死する重体に陥って三日間昏睡した。その間、水上は真っ黒に近い川のほとりに立つ夢とも異なる体験をした。後ろから亡き父に似た声がして冥土だから気をつけろと忠告され、川向こうの赤土の崖を、去年死んだはずの愛犬草太郎に似た白い犬が前足を枝にかけてよじ登ろうとしていたという。水上はこの体験以来、生と死の間に垣根はないと考えるようになったと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
証言・臨死体験(立花隆・臨死体験・ノンフィクション・平成)
立花隆『証言・臨死体験』を証言者(人物)単位で収録。安田伸・水上勉・邦光史郎・志賀信夫・前田忠明・佐野三治・向井承子・北林谷栄・永倉万治・彗星探索家木内鶴彦・元プロレスラー大仁田厚・羽仁進ら著名人や市井の人々が語る臨死体験(体外離脱・トンネル・光・お花畑・三途の川・死者との再会・人生回顧と蘇生)を、各証言の冒頭に【日付】【場所】【人物】【状況】マーカー付きで収録。臨死体験を脳科学と心霊の両面から検証した立花隆の証言集。