日本橋へ急がせた見えない客
どんな伝承か
夜の一時過ぎ、車庫でうとうとしていた運転手が、日本橋まで大急ぎだと叩き起こされた。慌てて跳ね起き、上着を引っかけるなり運転台へ飛び乗って、そのまま日本橋へ走らせた。着いてはみたものの日本橋のどこへ向かえばよいのか分からないので、この辺りでよいかと客の方を見た。ところが座席に客の姿はない。運転手は真っ青になって車庫へ戻り、奥へ駆け込もうとすると、居合わせた同僚に、客を乗せずに出ていく奴があるか、と怒鳴られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫版・決定版・昭和13年編纂(1938年))
日本怪談実話(田中貢太郎)/幽霊と怪光の実話/怨霊と祟り・因果/死の前兆と怪音/各地の怪異実話