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稲生家の一月の怪異と魔王の訪れ

所在地広島県三次市三次町(麦倉屋敷)
年代江戸〜近代
登場稲生平太郎、新八郎、怪異に一月悩まされた少年武士、平太郎の義兄
出典日本の怪談

どんな伝承か

稲生平太郎の家での怪異は七月の一か月間続いた。茶碗や行灯が宙を舞い、火鉢の炎は火の玉となり、蚊帳の上を下駄が走り、帷子の袖から生首が笑い、夜伽に来た者は次々に逃げ帰った。村役人は群がる見物人を門前から締め出す掲示まで出した。七月の末日の夜、行灯の前に座る平太郎の前に裃姿の武士が現れ、斬りかかると壁に消え、やがて壁から出て来て、自分は日本国中の高山を巡る魔王山本五郎左衛門だと名乗った。五月雨の頃に大熊山で平太郎を見かけ、七月に災いがあると知って防ぎに来たのだと言い、病人を救う呪法の巻物を授けた。魔王は庭に控えた異形の者と籠に乗り、奥州の金華山へ飛び去ったという。

原典より

と、空から怪しい雲がおりて来て、その籠をはじめ異形の者を包んでふうわりと空へ飛んで往った。—— 日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年))

『日本の怪談』は、田中貢太郎の怪談を昭和四十五年桃源社刊『日本怪談全集』から抜き出した文庫本で、昭和六十年十二月に河出書房新社から発行された。「宝蔵の短刀」「八人みさきの話」など土佐の城下や村の話をはじめ、江戸・京・吉野などを舞台にした幽霊・狐狸・猿・魔物の話を、会話の多い語り口で収める。二十七篇の後に尾崎秀樹の解説を付し、高知に生まれた作者の生涯と怪談・妖異譚への傾倒をたどっている。

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