トップ > 静岡県の伝承 > 熱海市

熱海の離れでの幽霊体験

所在地静岡県熱海市
年代明治〜昭和
登場遠藤周作、筆者・体験者
出典私は幽霊を見た

どんな伝承か

十二月の終わり、遠藤周作は三浦朱門と伊豆へ旅に出た。鶴巻温泉に泊まるつもりで降りたものの気が変わり、空腹を訴える三浦に引かれて熱海で降りて、駅の北側の坂を登りつめた竹藪の中の小さな宿に泊まった。寝床は陰気な離れに敷かれていた。町を歩いて十時過ぎに戻ったとき、三浦はその部屋に、つい今まで誰かがいたような嫌な感じを覚えた。眠ると胸を締めつけられ、耳元で嗄れた声がここで首をつった、自殺したと囁く。目覚めても三度同じことが続き、遠藤がついに三浦を起こすと、三浦も部屋の隅にセルを着た若い男が後ろ向きに座るのを二度見ていた。二人は腰を抜かしながら母屋へ逃げ出し、遠藤は木にもたれて何度も吐いた。別の部屋に寝かせてほしいと頼んだ二人は、女中に臆病を笑われた。翌晩は宿を伊東に変えたが、夜が更けるにつれ互いに怯えが募り、二人同時に叫んで飛び起きた。帰京後、遠藤は原因不明の高熱で一週間寝込んだという。

原典より

また、あの圧えつけてくるような胸の重さと耳もとに口をよせて囁く声が聞えだしたのである。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用
地図で位置を見る

※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)

『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。

種別から探す

自殺幽霊金縛り

熱海市の伝承

同じ種別の伝承

同じ文献『私は幽霊を見た』の伝承